シールのはなし
商品の第一印象を決める容器。容器を彩るには様々な方法があります。
化粧品において内容物はもちろんですが、見た目のデザインもとても重要です。
デザインは容器の加飾やシールなどの副資材によって表現されます。
その中でもこだわった複雑なデザインに適している表現方法がシールです。
容器印刷と異なる印刷方法を選択できるため、細かい絵柄や写真を使用したデザインを可能にします。
今回は容器を気軽に彩ることができる副資材「シール」について、掘り下げていきます。
これからオリジナルの化粧品を作られる方は、是非参考にしてみてください。
シールの素材について
化粧品やトイレタリーは基本的に水に濡れることを前提に考えなければいけません。使用している時に少し垂れることもありますし、シャンプーやトリートメントはそもそもお風呂場で使用する製品ですので耐水性が必要になります。
そこで活躍する素材が「合成紙」と「透明PET」です。合成紙は紙と同じような風合いで白地ですが、紙とフィルム両方の特性を持っています。木材パルプを主原料にしている紙と比べると耐水性と耐久性に優れ、まさに化粧品やトイレタリーに最適な素材といえます。
透明容器との一体感が求められるデザインの場合は透明素材のシールを採用しましょう。
一般的にPETを使用しますので耐水性はもちろん、透明性も優れています。注意点としては印刷した際にデザインが透けて見えてしまうことです。それを避けるためには、デザインの下に白を印刷します。下に白を印刷することでその部分は透明性がなくなり、デザインが透けて見えなくなります。
またチューブタイプのようにスクイズ性※がある容器ですと、合成紙や透明PETは良い選択ではなくなってしまいます。素材が硬く伸縮性がないため、使用していくうちにシールにしわが寄り、しまいには端から剥がれてきて残念な見た目になります。
※比較的柔らかく、内容物を押し出せる性質のことを指します。
そこで伸縮性、二次・三次曲面の追随性に優れ、なおかつ耐水性がある特殊な素材の出番です。こちらも白地と透明地の2種類があり、容器やデザインの特性により選択することができます。
その他素材には、風合いが欲しい、目立たせたい、高級感を演出したいなど、様々な要求に答えられるよう多くの種類が存在します。
レーヨン、和紙、サテンは、独特な風合いを持つ代表的な素材です。メタリックのような輝きのある蒸着や、立体柄を再現したホログラムなど、予め特殊な加工を施こすことで特徴的な見た目を持つ素材は商品を目立たせることができます。また上品で繊細な輝きを持つパール紙は高級感を演出するのにうってつけです。
このようにシールの素材には、様々な選択肢があります。
シールのラミネート加工
素材の選択で耐水性の確保ができますが、汚れに対しては完璧な処置ができていません。せっかくきれいに印刷されているシールがすぐに汚くなってしまうと残念な気持ちになりますよね。汚れからシールを守るためにラミネート加工をしましょう。
ラミネート加工は外的要因から素材や印刷部分を守る役割はもちろん、触った時の感触など消費者に対して触感で訴えかけることが出来ます。
代表的なラミネート加工は、グロスPPとマットPPの2種類です。
グロスPPは光沢感を、マットPPは優しい印象を演出することができます。ラミネート加工で見た目の印象が左右されますので、素敵な仕上がりになるようデザインや容器との相性を考えて最適なラミネート加工を選択しましょう。
また世の中には、和紙のような見た目と風合いを持ったものやホログラム柄を付与できるものなど珍しいラミネートも存在します。
様々な活用方法
化粧品やトイレタリーの容器に貼るシールの話がメインでしたが、その他にも様々な活用方法があります。その一つに「訂正シール」があります。印刷済みの表示に対して一箇所だけ訂正したい時にとても役に立ちます。
薄手のシールだと白地でも表示が透けてしまい役割不足になります。かといって、合成紙では透けはしませんが、厚みがあり訂正シールとしてはあまり適しません。
その問題を解決するのが、裏面がグレーの溶剤で加工された透けない薄手のシールです。訂正したい表示が透けることなく、また薄いので比較的凹凸のない仕上がりになります。身近なものだと個人情報の保護シールなどで活躍しています。
その他には「バージンシール」があります。商品が店頭に並ぶ際、バージン性を確保するために利用されます。
最近では環境配慮の観点からシュリンクフィルムが見直されているので、今後ますます活躍の場を広げると思います。未開封ですよ!とアピールする役割はもちろん、見た目を華やかにするアクセントとしての役割も果たすことができます。
いかがでしたか?
ひとえにシールといっても素材やラミネート加工にはたくさんの種類があります。
もちろん箔やエンボスなどの加工もできますので、大切な商品をきれいに彩り、
世の中へデビューさせてあげましょう。
企画部 S.O